ニューヨーク大学の心理学者ガブリエル・エッティンゲン氏が発展させてきた手法に「実行意図をともなう精神的対照(MCII)」というものがある。
この「MCII」をアンジェラ・ダックワース氏が小学5年生の意志力を育てるために使った戦略だそうです。
ガブリエル・エッティンゲン氏によると「人が目標を設定するときに用いる戦略は3つあり、そのうち2つはうまくいかない」と言っています。
うまくいかない2つの戦略
1つ目の戦略は「空想」
達成した時の未来を想像して将来の成功を思い描こうみたいな戦略です。
よく自己啓発でありそうですが、うまくいかない戦略みたいです。
でも「空想」をすることでドーパミン分泌が起こり、気分が良くなる効果があるそう。
2つ目に戦略は「思案(考えを巡らせる)」
この戦略は悲観主義者に多い傾向があり、目標達成の道のりで障害や不安になりそうなことを考える特徴があります。
ことが起きる前から「こうなったらどうしよう」「こうなったらうまくいかないのでは」など考えてしまうので、達成にはつながらないみたいですが重要な要素になります。
うまくいく戦略「空想」×「思案」+「if-thenプランニング」
そして、うまくいく3つ目の戦略が「MCII(実行意図をともなう精神的対照)」
この「MCII」は、先ほどの「空想」と「思案」を組み合わせたもので、気持ちをポジティブな方向に集中させ、目標達成の道のりで障害となるものを考え、その障害に対処する方法を考えるという戦略になります。
まず「目標達成したときの未来像を想像する」
良い結果になった未来像を具体的に想像して、どんな生活を送っているか?どんなやり方をしていたのか?どんな行動をしていたか?などできる限り具体的に書き出しておく。
例えば「次のテストで前回の点数を上回る」ことを目標にしているなら
・テストでいい点が取れ、成長を感じられて嬉しい
・学校から帰ってきたら先に宿題を終わらせている
・夕食中に両親に質問や問題を出している
・問題集を1日5ページ解いている
・朝に15分だけ勉強している
次に「現実の自分はどうなのか?」
正直に今の自分について、できているところ、できていないところなど具体的に理由もあれば書き出す。
例えば
- 学校から帰ってきたらゲームやテレビに夢中になっている
- 宿題は夜にやっている
- 両親に質問することがない
- 問題集をやる気になれず結局手を付けていない
- 朝はギリギリに起きている
「未来像」と「現実」とのギャップを対比させる
はっきりとした両方のギャップを意識することで、目標達成するために乗り越えるべき「障害」が把握できる。
その「障害」を書き出す。
上記の例えでいうと
- ゲームやテレビに夢中になってしまう
- 宿題を後回しにしている
- 疑問に思ったことをメモしていない
- 問題集や勉強の時間を決めていない
- 勉強をやる気が出ない
- 朝起きれない
最後のステップは「実行意図」を計画する
「もし~ならば~する」という形式で障害を克服する方法を計画すること
つまり「もし『障害』ならば『克服する方法』をする」if-thenプランニングと呼ばれるテクニックを使って計画していきます。
上記の例えでいうと
- もし「ゲームやテレビを見たくなる」ならば「先に宿題を済ませてご褒美とする」
- 「夕食後30分間」「勉強机で勉強 or 問題集を解く」
- 寝るとき「目覚まし時計を朝日が昇る窓際に置き」「レースのカーテンだけにして寝る」
適当に作ってみましたが、最初は1つか3つくらいがいいんじゃないかなと思います。
あとは「克服する方法」ですが、やる気の起きないことについては、1つだけの克服法じゃなくて「そのときの自分がどちらを選びたいか」という選択肢を用意してあげると効果的です。
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