20年にも及ぶ研究からマインドセットの持ちようによって、人生をも左右してしまうという研究結果がスタンフォード大学の心理学教授キャロル・S・ドゥエック氏の研究により証明されています。
マインドセットは、自分の考え方や意志力・ストレスだけでなく、周りの人にも影響を及ぼし、教育から仕事・勉強・恋愛・スポーツ・成功するかどうかにまで関係していると科学的に実証されました。
何をするにも重要なマインドセットとは何か?どんな影響を及ぼすのか様々な研究から簡単に紹介していきます。
心理学教授から知るマインドセットとは?
マインドセットとは、考え方・物事の捉え方・性格・信念や価値観などを表し、簡単に説明すると「考え方の癖・心の在り方」をマインドセットという。
このマインドセットの第一人者であるスタンフォード大学の心理学教授でもあるキャロル・S・ドゥエック氏は、20年以上もマインドセットについて研究し、マインドセットには2種類の考え方があることを見つけました。
このマインドセットの発見により、仕事や勉強・成長・成功・問題解決など様々なことに影響することが科学的に実証され、どんなに小さなことでもマインドセットを変えれば多大な効果をもたらすことが分かりました。
実は自分の性格というものの多くが、このマインドセット(心の在り方)によって成り立っていて、もしあなたが何かに力を発揮できずにいるのなら、原因がマインドセットにあると言っていい。とキャロル・ドゥエック氏の著書「マインドセット『やればできる!』の研究」で語っています。
2つのマインドセットの特徴
マインドセットには「硬直マインドセット=fixedマインドセット」と「しなやかマインドセット=growthマインドセット」の2種類があります。
コロンビア大学の研究では「証明マインドセット(硬直・こちこち)」と「成長マインドセット(しなやか)」と紹介されています。
マインドセットは考える物事によって変わる
2つのマインドセットは、考える物事によって「証明マインドセット」だったり「成長マインドセット」だったりすることがあります。
例えば、今の仕事については「証明マインドセット」だけど、趣味については「成長マインドセット」を持っているという具合に考える対象が変われば、別のマインドセットで考えていることがあります。
証明マインドセットの人は、成功か失敗か・無能さや無力感にとらわれやすく、自分の能力が分かってしまうが怖くてイヤになる部分がありますが、成長マインドセットも持ち合わせていることを忘れないでください。
長年の中で根付いてしまった考え方の癖(マインドセット)を変えることは簡単ではないが、変えることは可能だとキャロル・ドゥエック氏が述べています。
マインドセットが影響を及ぼすことを簡単に説明
マインドセットが影響を及ばす範囲は自分だけでなく、相手にも影響を与えてしまい、上司や先生・親などの教える立場の人が証明マインドセットだと部下・生徒・子どもの成長に悪影響を与えたり、証明マインドセットになってしまったりすることが実験からわかっています。
成長マインドセットの人は、困難に直面しても粘り強くやり抜く力があったり、失敗してもどうすれば良かったのか・改善するところはあるだろうか?と成長を意識した行動に目を向けることができます。
証明マインドセットの人は、困難に直面すると不安でしかなく、一度でも失敗するともうダメだと思ったり、何かのせいにしたり、怒りの感情を抱いたりしてしまい、結局そこから学ぶことはなくまた同じようなことを繰り返してしまう。欠点は分かっているが隠す方に動いてしまうことが多い。
残念ながら、悪影響を及ぼすマインドセットが「証明マインドセット(fixed)」の方で、どんなことに影響を与えるのか簡単に紹介していきます。
自分自身に影響すること
証明マインドセットは、学習する意欲をなくしてしまう。
コロンビア大学の研究で、両方のマインドセットの人に興味や注意を示す脳波がどこで出るのか?という実験で難しい問題に答えてもらい、答えが正解か不正解を伝えたあとに学習に役立つ情報を教えます。
実験結果は、証明マインドセットの人が関心を示したのは答えを告げられるときだけで、その後の学習に役立つ情報には答えが正解でも不正解でも興味を示すことがなかった。つまり、自分の能力を証明することにしか興味がなかったのだ。
証明マインドセットの人がやる気を感じるところは、自分の思い通りに事が進んでいるときで、手に負えなくなる・できないと感じるとやる気がなくなってしまいます。
勉強や仕事でも難しい・うまくいかないと感じるとやる気がなくなる。自分の能力を証明できないと面白く感じられない。このため昔は好きだったことが嫌いになってしまうことが多くあります。
自分自身にマインドセットが影響することが多岐にわたり、人生において課題を達成するのにマインドセットが重要だと数多くの研究で証明されています。
人材育成や教育・子育てにも影響する
マインドセットは、自分だけでなく相手にも影響を与えてしまいます。
人材育成や子育てなど教える立場の人間が証明マインドセットだと、部下や生徒・子供などに悪影響を与えてしまいます。
上司が証明マインドセットだと、頼りなく感じるだけならいいですが、聞く耳を持たず意見が通らない・失敗すると怒り、原因ばかりに目が行きがちで改善が進まない。なんてことが起こります。
そして、証明マインドセットの人に教わると、成績が下がることが証明されていて、さらに教わる人が証明マインドセットになってしまう可能性があるのです。
とくに褒め方に注意が必要で、相手の成功や才能「君は頭が良いね・すごいね」などと褒めてしまうと証明マインドセットに陥りやすいことが実験からわかっています。褒めるときは相手の努力・過程を褒めてあげることで成長マインドセットに導くことができます。
マインドセットを変えるには?
マインドセットは考え方の癖なので、簡単に変わるようなものではありませんが、変えることは可能だとキャロル・ドゥエック氏の研究で証明されています。
マインドセットを変える10の方法をこちらにまとめました。ぜひ活用してみてください。
マインドセットを学べるおすすめの本
マインドセットは自分の能力・メンタルをもっと高めたい方や良い教育者になりたいと思っている人におすすめです。
マインドセットを学べるおすすめの本は、マインドセットの第一人者であるキャロル・S・ドゥエック氏のミリオンセラーにもなった「マインドセット やればできる!の研究」これは外せない一冊です。
あのビル・ゲイツ氏も絶賛したほどの書籍になります。
次におすすめの本がスタンフォード大学の教授ジョー・ボアラー氏の「『無敵』のマインドセット 心のブレーキを外せば、『苦手』が『得意』に変わる」
膨大な研究と実践をもとに、限界なき脳の成長を可能にする「無敵」のマインドセットの作り方を“6つのステップ”で脳科学の観点から教えてくれます。
ジョー・ボアラー氏は、英国BBC局が選ぶ「教育を変える8人」に選ばれています。
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