学力だけあっても成功する人は少ないという。
では何が成功する人の特徴なのか、ジェームズ・ヘックマンによると「非認知的スキル」だという。
今回は、それがどういうことなのかメモしておこうと思う。
学力があっても成功する人は少ない
アメリカでは高校を中退した人でも高校卒業と同等の資格を得られるGED(高校修了同等資格)というものがある。
ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏が1990年代におこなった研究で、このGEDを取得した者と普通に高校を卒業した者の学力テスト・IQと密接な関係にあるスコアを比べると、両者に差は見られなかった。
しかし、22歳の時点で大学に在学中か、高等教育を修了した者は、GED取得者では3%しかいなく、高校を卒業した者では46%であった。
さらに、GED取得者は高校中退者よりも有利な証明書と学力があるのに、年収・失業率・離婚率・違法ドラッグ使用率など高校中退した者と同じような結果だった。
IQを高める教育をしても効果は続かない?
「ペリー・プレスクール・プロジェクト」という3歳から4歳の子どもたちを対象にした早期教育が1960年代におこなわれた。
低所得でIQの低い親の子どもを集め、実験グループには就学前プログラムを実施し、対照のグループには自力で勉強をしてもらうということを2年間おこなった。
その後のIQテストで、実験グループのIQスコアは2年間のペリー・プレスクールの間とその後の2年まではIQスコアが高かったが、その後は対照群のグループとIQスコアの差がなくなってしまった。
つまり、IQを高める教育、ペリー・プレスクール・プロジェクトに関しては、教育をやめるとIQを高めた効果がなくなってしまった。
重要なのは「非認知的スキル」
もともとペリー・プレスクールは、低所得な家庭の子供の知能を向上させる目的で始まったので、早期教育としては失敗作としてみなされているそうだが、重要な点は他にある。
2年間のペリー・プレスクールの効果は、その後の追跡調査で対照群と比べ、高校の卒業率・27歳での就職率・40歳で2万5千ドル以上の年収を得ている割合が高かった。
さらに、逮捕歴や生活保護を受けている割合は低く、2年間のペリー・プレスクールでの効果が何十年も続いていたということが示され、現在も追跡調査が行われている。
つまり、学力やIQなどの認知スキルといった数値化できるものだけが人生に重要な意味を与えるのではなく「非認知的スキル」が密接に関係していたということです。
なぜGED取得者は、高校卒業者と同程度の学力があるのに、大学に在学中か修了した者が3%しかいないのか?高校中退者よりも有利な立場なのに、年収・失業率・離婚率などが中退者と同じ結果なのか?
なぜペリー・プレスクールに参加した子供たちは、高校卒業率・就職率・年収が高く、逮捕歴や生活保護を受けている割合が低いのか?
ここに関係していたのが「非認知的スキル」だったというお話しですね。
非認知的スキルといっても、この中にはいくつかの種類があり、どうやって子供たちに教えたらいいのか気になるところですので、調べて記事にしたいと思います。
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