ワーキングメモリ(作業記憶)とは、短期的にいくつかの物事を同時に記憶する能力のことで、高ければ学習や仕事などでかなり有利となる。
このワーキングメモリと子供時代の貧困に関係性があることがわかっている。
成長期のあいだに、どれだけ貧困のなかで過ごしたのかによって、ワーキングメモリのテスト結果が下がっていたという。
だが、さらに追加の実験があり、2009年コーネル大学の実験で、9歳と13歳の子供たちのストレスホルモンのレベル、血圧、肥満度指数などの生理的なデータからアロスタティック負荷(ストレス反応システムが酷使されたことで身体に与えたダメージのこと)を使って、ワーキングメモリと貧困の関係を調べた実験があります。
実験結果は、ワーキングメモリのテスト結果、過去の貧困度合、アロスタティック負荷の3つに相関があることがわかった。
ここからが重要!
ですが、統計学の手法を使ってアロスタティック負荷の影響を除外すると、貧困がワーキングメモリに及ぼす影響が消えたことが確認された。
つまり、貧困であることがワーキングメモリに影響を及ぼしているのではなく、貧困からのストレスがワーキングメモリに影響を及ぼしていたということです。
子供時代が貧困であっても、幸せな家庭だったり、良い友達に恵まれていたりすれば、ワーキングメモリが高い可能性があるということですね。
「参考文献」
ポール・タフ (2013) 『成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか』英治出版
コメント