科学的に実証された目標達成率が2~3倍にもなり、様々な種類の目標に対して有効である「WOOPの法則」を紹介します。
こういった正しい目標の立て方を学校で教えないことに疑問を持ちました。ぜひWOOPの法則を試してみてください。もちろんシェアしてくれて大歓迎です。
目標達成が2倍になるWOOPの法則とは?
WOOPの法則とは、アメリカの心理学者ガブリエル・エッティンゲン氏による20年以上ものモチベーション科学の研究をもとに提唱された目標の立て方です。
WOOPは、目標に対して障害になることを乗り越えて行けるように習慣化するイメージトレーニングの一種で、4つのステップに沿って目標を立てることで目標達成率が2~3倍以上になります。
・Wish(願望)目標
・Outcome(結果)ベネフィット
・Obstacle(障害)
・Plan(計画)
普通、目標を達成するのに障害物は邪魔者扱いになりますが、このWOOPの法則は、障害こそ目標を達成するのに必要な要素だと考えます。
確かに何かを達成するのに障害は付き物で、何かを乗り越えるからこそ達成があります。障害がない目標設定は不十分だと言えますね。
よくよく考えてみると、目標を諦めてしまうのも障害にぶつかったときなので、その時どうするのか事前に行動を決めておけばメンタル的にも不安の軽減に繋がります。
科学的に見るWOOPの法則の効果
WOOPの法則を使った実験は数多く行われており、WOOPの法則を使ったグループとそうでないグループを比較すると、WOOPの法則を使ったグループの方が目標達成率が2~3倍高く、継続的に活動を続け、メンタルの改善にも効果があると報告されています。
30~50歳の女性を対象に運動することの重要性を伝え、改善されるのか調べた実験です。
実験内容
全員に運動することの情報介入を受けてもらい、WOOPの法則を使ったグループとそうでないグループで、運動の改善が見られるのか比較します。
実験結果
情報介入のみ:実験前よりわずかに向上しただけ
情報介入+WOOPの法則:最初の1週間で効果が表れ、情報介入のみのグループよりも2倍の運動をするようになり、4ヶ月間(実験期間が4ヶ月)続いて継続しました。
引用論文:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18977113/
その他にも野菜や果物の摂取量を増やす2年間に及ぶ実験で、情報介入のみのグループと情報介入+WOOPの法則を使ったグループで比較する実験で、最初は両グループとも摂取量が増えましたが2年後どうなっているのか調べると
情報介入のみのグループ:実験前と同じ摂取量に戻っていた
情報介入+WOOPの法則:2年後もより高い摂取量を維持していた
引用論文:https://psycnet.apa.org/record/2010-09923-006
WOOPの法則を使うと、目標達成率が2~3倍上がり長期的にも継続することがわかりました。
他にも失望や後悔などネガティブな感情を乗り越えたり、学習の改善や成績アップなどにもWOOPの法則は効果があると証明されています。
ポジティブシンキングとの対象実験でもWOOPの法則を使ったグループは、目標達成率が2~3倍高かったことがわかっています。
WOOPの法則を使った目標の立て方
WOOPの法則は4つのステップで目標を計画していきます。
・Wish(願望)目標
・Outcome(結果)ベネフィット
・Obstacle(障害)
・Plan(計画)
目標を立てる前に瞑想しておくと脳内がクリアになり、計画が立てやすくなります。
1.Wish(願望)目標の設定
Wish(願望・目標)を洗い出すのですが、いくつかポイントがあるので解説します。
1.大き過ぎる目標・願望に設定しないこと
NG例:1週間で10㎏痩せるや金持ちになるなどはダメ
OK例:夏までにお腹のぜい肉を落とす・年収10%アップさせる
・大き過ぎた場合は、小さくするか考え直す
・簡単すぎても意味がない、少し難しいけど頑張れば実現できる目標にする
2.自分がコントロールすることができるものにする、コントロール不能要因で考えないこと
NG例:宝くじで金持ちになるはダメ
OK例:英語が読めるようになる
・運や他人、外的要因によって達成するものにしないこと
・自分の行動、自分の力、内的要因によって達成するものにする
大き過ぎたり、コントロール不能要因の目標にすると、ポジティブシンキングの罠にハマり、達成できたはずの目標でも達成できなくなってしまいます。
以上のことを気を付けて、あなたの願望、もしくは目標を書き出してください。
2.Outcome(結果)ベネフィットの設定
Wishで決めた願望・目標を達成したとき、どんな結果・ベネフィットがあるのか考える工程になります。
・具体的にどうなるのか?
・どんな気分・感情なのか?
・どんな変化があるのか?
・何が手に入り、何ができるようになるのか?
目標を達成したことで得られる最もベストな結果を具体的にイメージしてください。
例:「痩せたい→スタイルが良くなる」もっと具体的にイメージする
着てみたかった洋服が着れる、健康的になる、気分が明るく自分に自信がつき彼氏ができる。などをイメージしてみましょう。
3.Obstacle(障害)の設定
Obstacle(障害)ここがとても重要なポイントでWOOPの法則の特徴でもあります。
願望・目標を達成するのに妨げになっている障害は何なのか?考えます。
ここで注意点があり、もし障害が他人や外的要因、自分がコントロール不能要因だった場合、Wish(願望)の設定が間違っている場合があるので、Wish(願望)の設定に戻ってやり直してください。
WOOPの法則は、自分の行動や気分・感情など自分の中から、自分の力で出来る、自分がコントロールできる要因で考える必要があります。
・自分の中で妨げになっている気分・感情は?
・何の行動・考えや感情・衝動や癖・不安や思い込みで妨げになっているか?
・それはどういう状況のときに起こるのか?
例:「夏までにお腹のぜい肉を落とす」この目標の障害
・お菓子を見てしまうと食べてしまう
・痩せてる実感がないとやる気が出ない・不安になる
・運動する時間がない
・行動ではなく、調べるのに時間を使っている
障害を想定するのに最初から完璧である必要はありません。
実際に行動していく中で「こういう状況のときにこのような障害があった」とメモしておきましょう。
この障害を計画に落とし込んでいきます。
4.Plan(計画)をif-thenプランニングで計画する
障害にぶつかったとき、どう乗り越えるのか「if-thenプランニング」を使って計画していきます。
if-thenプランニングとは「もし〇〇になったら○○をする」とあらかじめ決めておくプランのことです。
if-thenプランニングは、あらゆる目的に有効であり、効果も高いことが証明されています。
運動を習慣化することを目標にしている人を対象にif-thenプランニングを使ったグループと普通に計画を立ててもらったグループの実験があります。
実験結果は、if-thenプランニングをしたグループの91%の人が習慣化に成功!
普通の計画を立てたグループは31%の人しか習慣化することができず、同じ目標を持っていても計画の仕方で成功率が2~3倍も変わることがその他の実験からも証明されました。
if-thenプランニングの計画の立て方は、Obstacle(障害)で出てきた障害をif-thenプランニングに落とし込んでいきます。
「もしif(障害)になったら、then(有効な行動)をする」
・ifは妨げている障害、その時の状況
・thenはその状況を改善、代替え、回避する行動
(回避はつまみ食いを避けるなどの回避で、嫌になったら逃げるとかの回避ではない)
・逃げる方の行動を計画にすると効果が下がってしまう
・障害を乗り越えるのに何ができるか?
・妨げている気持ちを克服するのに効果的な行動や考えは?
例:障害「やる気が出ない・不安になる」
・もしやる気が出なかったら、やったーと叫び全力ガッツポーズをする
(脳科学的にやる気は行動した後に感じるもので、ガッツポーズをするとやる気を感じるため)
・もし不安になってしまったら、瞑想・マインドフルネスを10分する
(瞑想・マインドフルネスはメンタルに効果があると科学的に証明されているため)
WOOPシートで目標を立てる
WOOPの法則の使い方が分かったところで、まずはテスト感覚でいいので計画を立てて実践し、その実践で気付いたことを計画に落とし込んでブラッシュアップしていきましょう。
そのためには「新たな障害・その状況」と「改善・回避・代替えなどで乗り越えられた行動」をメモしておきましょう。
目標を見直す・確認するためにも1週間か1ヶ月を目安にWOOPで再度計画してください。
このようなWOOPシートを作ると計画しやすいです。
○○に関する(ダイエットに関する) | ○○の目標(1月の目標とか) |
---|---|
Wish(願望・目標) | ○○ |
Outcome(結果・ベネフィット) | ○○ |
Obstacle(障害) | ○○ |
Plan(計画) | |
if もし○○の場合 | then ○○をする |
if もし○○の場合 | then ○○をする |
if もし○○の場合 | then ○○をする |
WOOPの法則は、基本的に障害をベースにしてif-thenプランニングで計画しますが、ポジティブな行動に対してもif-thenプランニングは有効です。
例えば「朝起きたらランニングする」「月、水、金曜日の仕事終わりに1時間ジムに行く」など
その他に意志力が弱い人は、thenの行動(○○する)を2つ用意してみてください。1つ目はベストな行動、2つ目は最低限の行動を決め、自分でどちらか選べるようにすると続けやすくなります。
例:家に帰ってきたら、腹筋を50回 or 10回する
これで頑張ってみてください。脳は繰り返し行われる行動が大好きです。行動が習慣化すれば目標達成にグンっと近づいていきます。
目標に向かっていく中でモチベーションが保てなくなってきたら、こちらの記事を参考にしてみてください。
皆さんの目標達成を願います。
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