今回は、脳の2つのシステムと、見えないゴリラ実験について解説していきます
見えないゴリラって何って思ったと思いますが、普通町中にゴリラがいたら、さすがに気が付きますよね
ですが、ある実験でこのゴリラが見えなくなるという面白い実験があるので、脳の2つのシステムと共に紹介していきます
脳の2つのシステム
私たちの脳には2つの思考モードが備わっています
- システム1(速い思考)
- システム2(遅い思考)
この2つの思考は心理学でも使われる有名なものです
どんな特徴があるのか簡単に説明すると
システム1
- 自動的に高速で働きかける
- 努力が必要ない
- 自分がコントロールしている感覚がない
システム2
- 複雑な計算など頭を使う知的活動に注意を向ける
- 選択や集中するときなどに関係する
- システム1を監視する
例えば
- しかめ面の人を見ただけで、その人が怒っていることが瞬時に分かり、その人が次に起こす行動も予測することができる。
- あなたの周囲で何か物が落ちて音が鳴ると、瞬時に音が鳴った方角が分かる。
これらは「システム1」が自動的に行っていることで、まったく努力していないことに気づくはずです
一方でシステム2の働きは多種多様なものが存在するのですが、1つ共通している特徴が注意力にあります
例えば
- 落ちた物の音を聞いて、それが何なのか判断する
- 会話中に相手が「はい」と言った回数を数える
- 自分の姿勢がピンと伸びているか監視する
これらの行動をするには注意力が必要なので「システム2」が働きます
要するに
システム1は、直感や感情的、衝動的な部分
システム2は、注意や集中、考えることなどに関するシステムというわけですね
インビジブルゴリラ!?
もう1つシステム2には、注意や記憶をセットしシステム1の働きを調整する能力も備わっています
例えば
友達との待ち合わせで友達を探せるように特徴をセットし、遠くから見つけられるようにするなどがシステム1の働きを調整する能力です
このとき極度に集中すると、周りが見えなくなり、通常なら必ず気づくようなものでさえ気が付かなくなってしまうという面白い実験があります
実験の内容は、白いシャツを着たグループと黒いシャツを着たグループがいて、バスケットボールを動きながらパスし合う様子を見てもらい、黒いシャツチームのパスは無視して、白いシャツチームのパスを数えるように指示されます
動画が半分進んだところで、ゴリラの着ぐるみを着た人が登場し、胸を叩き画面を横切っていきます
動画が終了し、被験者たちに何か異常がなかったか?ゴリラはいたか?質問すると約半数の人たちが異常もゴリラもいなかったと答えたのです
ちょっと信じがたい結果だと思いました
ゴリラが登場して中央で立ち止まり、胸を叩いたのち画面を横切っていくのですから、気づかないわけがないですよね
ですが、実験結果では約半数の人がゴリラに気づかないという面白い結果になったんですね
また、パスを数える作業をせずに普通に動画を見たグループは、ゴリラに気づかない人は1人もいませんでした
なぜこうなるのかというと、白いシャツチームを見るというシステム1が自動的に働き、周囲の異変に気付く注意力がなかったからです
通常システム2は、省エネモードで作動しているため、注意しようと思わなければシステム2が優位にならないので、ゴリラに気付かなかったというわけです
この面白い実験は「インビジブルゴリラ」と呼ばれているので、気になった人は調べてみてください
YouTubeにもそのときの実験動画がアップされていたと思います
まとめ
この2つのシステムを簡単にまとめると
システム1は、印象や感覚・衝動や連想・直感や意思・慣れた作業など、努力を必要としない自動的かつ自由なシステムと言えます
システム2は、そんな自由なシステム1を監視したり、システム1では難しい問題に取り組んだりする特徴があり、システム1から送られてきた情報から判断や抑制をする最終的な司令塔とも言えます
この2つのシステムは、効率的にできていて、努力を最小化し成果を最適化するようになっているのですが、欠陥もあり、バイアスに掛かってしまったり、システム1の機能をOFFにすることができないため、エラーを起こしてしまったりするのです
エラーを起こさないためには、システム2の注意を強化したり、どんなバイアスがあるのか知ることでエラーを減らすことができるそうですよ
今回は、私たちの脳にはこんなシステムが備わっているということを知れただけでも良かったかなと思います
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